AIの東大数学チャレンジ全記録|その仕組み・弱点から考える、人間にしかできないこと

「AIが東大に合格」──。

そんな衝撃的なニュースに、驚きや期待、あるいは「自分の勉強は無駄になる?」という不安を感じた方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そのニュースの真相を紐解く「全記録」として、AIの賢い「仕組み」と意外な「弱点」を徹底解説。 AI時代に輝く「人間にしかできないこと」と、新しい学びのヒントを探ります。

【衝撃の事実】AIは東大入試を本当に「合格」したのか?

2025年、AIが歴史を動かした瞬間

結論から言うと、答えは「イエス」です。

2025年の東大二次試験で、あるAIは理科三類(医学部など最難関)の合格最低点368点を上回る374点を記録しました。

AIが日本の最難関試験を突破した、歴史的な出来事となったのです。

かつての挑戦者「東ロボくん」との決定的な違い

かつて東ロボくんは「文章の意味が理解できない」という壁に阻まれました。

しかし現在のAIは、膨大なデータから文脈を読む力が飛躍的に向上しています。

単なる記号処理に留まらず、文章の意図を柔軟に解釈できるようになった点が、かつてのAIとの決定的な違いと言えるでしょう。

表で見るAIの驚異的な成績

実際の科目別スコアを見ると、AIの強みと弱点がより鮮明になります。

特に英語で圧倒的な強さを見せる一方、数学でも合格者平均レベルのスコアを記録。AIの総合的な学力の高さがうかがえる結果です。

科目 (2025年度 東大理科三類) AI (GPT-4o)の得点 満点
合計 374点 550点
数学 70点 120点
国語 71点 80点
外国語 93点 120点
理科 (高得点) 120点
(参考) 合格者最低点 368点

注:株式会社LifePrompt社の検証結果を基に作成

AIの頭の中はどうなってる?数学を解く「思考プロセス」の秘密

まるで魔法?AIが使う2つの強力なテクニック

① ステップ・バイ・ステップで考える「思考の連鎖」

AIは、答えをいきなり閃くわけではありません。

まず思考の連鎖というテクニックを使い、人間が途中式を書くように思考の過程を書き出します。

このひと手間が、複雑な問題を分解し、正しく解くための鍵と言えます。

② 苦手な計算は専門家におまかせ「ツールの使用」

実はAIは、複雑な計算そのものは苦手です。

そこで、問題を解くためのコンピュータプログラムを自分で書き、それを正確な計算機に実行させて答えを得ます。

難しい計算は専門家(ツール)に任せる、賢い分業体制を築いています。

AIにも「得意な問題」と「苦手な問題」があった!

このような思考法の結果、AIには明確な得意・不得意が生まれます。

【AIが得意な問題】

  • 文字が多く複雑な計算
  • 論理を積み重ねる証明問題

【AIが苦手な問題】

  • 図を書いて関係性を捉える幾何学問題
  • グラフから情報を読み取る問題

【最大の弱点】AIが「図を見てひらめく」ことができない理由

現在の主要なAIは、人間のように「目で見て」考えることができません。

あくまでもテキスト(文字)で情報を処理するため、図が持つ「この線は平行だ」といった視覚的な情報を直感的に掴めないのです。

これが、AIが複雑な図形問題を苦手とする根本的な理由といえます。

「AIに負けた…」はもう古い!これからの時代に「人間にしかできないこと」

答えを出す力 vs. 正しい「問い」を立てる力

AIは「与えられた問題」を解く達人ですが、何が問題かを見つけ、ゼロから「問い」を立てることはできません。

これからの時代に価値を持つのは、テストの正解を覚える力以上に、現実の課題から「これはなぜだろう?」という、面白くて本質的な問いを立てる力なのです。

受験生と保護者の皆様へ:明日からできる新しい「学び」の3つのヒント

  1. AIを「賢い文房具」として使いこなそう
    AIを、計算や調べ物を手伝ってくれるパートナーと考えましょう。複雑なグラフの描画や自分の解答のチェックなど、便利な文房具として活用することで、人間はより創造的な思考に時間を使えるようになるでしょう。
  2. 「なぜそうなるの?」と本質を問う癖をつけよう
    AIが出した答えを鵜呑みにせず、「なぜこの答えになる?」「別の解き方はない?」と考えてみましょう。その答えに至る「過程」を大切にし、物事の本質を探求する姿勢こそが、思考力を深く育てることにつながります。
  3. 試行錯誤や「寄り道」をとことん楽しもう
    最短ルートで正解に辿り着くことだけが学びではありません。一見無駄に見える様々な解法を試したり、寄り道したりする経験が、AIにはない柔軟な発想力や「ひらめき」の種を育てます。

大学入試も変わる?これから本当に問われる「学力」とは

AIが解ける問題ばかりでは、本当の力は測れません。そのため、大学入試も少しずつ変わっていくでしょう。

これからは知識量だけでなく、AIにはない発想力や、AIの答えを疑う批判的思考力、自ら課題を見つける探究力といった、より人間的な能力が問われるようになります。

まとめ

本記事のポイントを振り返りましょう。

①AIはついに東大に合格したが、万能ではありません。
②AIには特有の思考法と、「図形をひらめく」ことが苦手という弱点があります。
③だからこそ、これからはAIにはない創造性や、本質的な「問い」を立てる力が重要です。

AIを恐れるのではなく、賢いパートナーとして、あなただけの学びを探究していきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました